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ホームページの事、返信、妄想、ブックレビューに愛を叫ぶ準ブログ。偏愛なので準が付く、そういうことを書いております。
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夢野久作さんの「ドグラ・マグラ」を数分間よんで即座に中断、新年にまわしました。三大奇書として悪名(?)高い作品です。帯の文句が読んだものは精神に異常をきたすとかなんとか…。冒頭だけで意味不明というのが解りました。このまま続けて、年末にむむむ、と悩んだりするのは嫌なので(←たぶん読むのに相当時間がかかるから)、新年明け、落ち着いたころに読もうと思います。主人公が精神異常者で、彼の一人称で語られてるから、解りずらいのです。ウ●キのツッコミがまた笑える。「まともに要約することは到底不可能な奇書」らしいです。
さて、今週読んだ本です。

「神のロジック 人間のマジック」 西澤保彦
「時計館の殺人」 綾辻行人
「月光ゲーム Yの悲劇’88」 有栖川有栖
「理由」 宮部みゆき


本格ぞろい。綾辻&有栖川コンビは一緒に読まなくては!ですよね。奇書のかわりに選んだのは、王道・宮部みゆきの「理由」。8月に買ってから放置してたもの。(放置していたのすら忘れてました;;;;)
ブックレビューはこれが今年最後ですね。


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「神のロジック 人間のマジック」 西澤保彦

地平線の果てにあるような学校(ファシリティ)に通うぼく、守。全寮制学校の風体を取るそこには十歳前後の生徒が全部で六人、教師が二人、の他に食事当番に一人しかいないとにかく変わった施設だ。ことことに煮込み過ぎたまずいスープが生徒たちの切実な悩み。運動は制限されテストの点数でおこずかいの額が決まる。楽しみは自動販売機のスナックだけ。買い置きしていたスナックがなくなった?勘違いじゃないの?
そんな平和な毎日に突然亀裂が生じた。
新入生が来る。その知らせを聞いた瞬間こわばる他の生徒。そもそもこの学校は何のために作られたのか?考えれば考えるほど謎は深まりある日突然それははじけた。死んだ生徒。殺した同級生。そして世界は崩れた。

  
西澤作品2作目に選んだのがこれ。理由は解る人になら解ると思いますが、ええ、京極関係です。わたしが買ったのは文庫版ですが、ハードカバーの方の表紙を担当したのが京極という、どーしよーもない、西澤信者に莫迦にしてるのかと怒られかねない理由なのです。ごめんなさい。西澤作品の直球で代表作「七回死んだ男」がちょっと合わなかったから変化球作品を探したってのもありますが、決定打が京極の表紙でもカバーできない作品とある書評に書いてあったからです。ぐだぐだ本の中身に関係ない事を続けますが、殆どの作品に対して言える事ですが、わたしは何かしらのつながりで本を選ぶことが多いので(作中に出てきた本が気になって読んだりといった具合)、こればっかりというわけではないです。こういうどうでもいい事をとうとうと述べていても仕方がないので感想に移ります。
短い話ですが、その冒頭の速い段階から作品に引き込まれ、明るい雰囲気にドキドキしながら読み始めました。実は先週の4冊中3番目に読んだ本なのですが、(「理由」が一番最後)、初めの本格コンビの2冊が暗く、陰鬱だったので、子供視点の少年探偵団的な冒険と快活さを期待していたのですが、(具体的には学園の謎を解くのかと思ってました)最後はええええええええええーーーーーー!?って感じでした。少年少女の冒険ものか、との認識が、雲行きが怪しくなる展開の連続で、最後にどーんと覆されました。うお!って。一応期待していた謎は明らかになったのですが、読書経験が浅いのでこのパターンを以前に読んだ事がなく、全く予想がつかなかったです。氏の本は後にどんでん返しがあるのですね!面白かった。作者を挑戦者、と見るのならば、読者が解かなければならない謎は2種類在ったのですね。その2つ目が…!すべての描写には理由があったのか。あれもこれもそれも。設定が設定なので、そこには突っ込まないとして、なぞは一つ残らずないです。一掃されました。
錯覚というか思いこみ、それを与える側と与えられた側。コミュニティの構成員の相互作用により築き上げられた虚構と危機。現実とは何なのか。結局誰もが把握してなかったのか。核心に触れるコメントは避けたいので、言えませんが、ミステリヰのジャンル的にアレに当てはまるとは、全く思ってませんでした。
読んだ本たちはどれも社会学に触れてます。妙な共通点。この話は少し心理学よりでしたが。
個人的には「七回(略)」よりもこっちの方が好きだなあ、と世間ずれした好みを抱きました。(一般的な評価は「七回(略)」のほうが☆一つ分ほど上です。一般的な書評と食い違うと(よくあるので)自分の感覚のほうが可笑しいんだなあ、と気付かされ嫌な気分になりますね)。
もう一冊読んでからこれからの方針(集めるか集めないか)を決めます。


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「時計館の殺人」 綾辻行人


初読綾辻ミステリヰはやはり代表作の「館」シリーズ。初めて読む人の作品はなるべく長編を選ぶようにしてます。短編集が苦手なので。
とにかく氏の本は初めてだったのですが、人が死ぬ死ぬ。驚くほど短期間(3日間)で。館の呪いだとしか思えません。驚きました、というのが印象深いところです。
核心を先延ばしにするような描写が多く(本当に何度もあります)、進んだと思ったらまたストップの繰り返しにちょっとイラっとしました。しかも少し不自然なところが気になりましたが、楽しめました。同時に前の述べた通り殺し過ぎだよ、と思いました。個人的にトリックがばれそうになったから~と殺すのはあまり好きじゃないパターンです。が、おもしろかったのはおもしろかった。読みやすかったですし。引き込まれました。
小さなトリックは解って、これが出来るのはあの人しかいないじゃないか、と犯人はめどがついていたのですが、館の意味とかそれ以上にいろいろ関連しているんだなあ、と感心しました。あれとかこれとか、そんなところにもトリックがと明らかになり、なるほどー!と謎が解けたことによる読後の満足感も◎
「館」シリーズはこれからも集めるかも、です。かも、と態々但し書きしてあるのは「十角館(略)」が微妙と聞いた事があるのです。でもこれだけ買わないとか、そういう訳にはいきませんよねー。


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「月光ゲーム Yの悲劇’88」 有栖川有栖


同じく初読有栖川ミステリヰはデビュー作です。本当は「マレー鉄道(略)」が読みたかったのに置いてなかったのです。
読み終わった段階での印象はホームズ。エラリー=クイーンなのかもしれませんが、読んだ事無いので、わたしが思ったのはホームズ。小さいころにシリーズを読んで抱いた感覚と似たようなものを思い起こさせました。つまりこじつけ的な…。そんなの知るか!みたいな。特にというかやはり、ダイイングメッセージは浮きますよね。これが犯人が自分の犯行を示唆するために残したもの、とかならば全然OKなのですが、ダイイングメッセージはいただけないなあ。あとは上記2冊も含めクローズドサークルというのですか?閉鎖的な空間で起きる殺人事件のことですが、このパターンはあまり好きではないです。作者からの挑戦状をどちらかというと受け流しがちなのですが、クローズドサークルは容疑者が絞られ過ぎてしまうので、おもしろさの要素的に好みではないです。名前が覚えられないほど登場人物が多くても、江上達一行は設定的に容疑者からは外れますし、殺された人数も引くと、それなりに絞られます。
デビュー作ですからね、きっと最近の作品とは印象が違うのでしょう。辛口かしら?ただし、容疑者が少ないからと言って、犯人は誰だか全く予想がつきませんでした。だから江上の推理に納得できます。そういう意味では良質のミステリヰなのでしょう。しつこいですがあのダイイングメッセージ以外は。理由としては十分に正当なんだけど、やっぱりなんだかなあ、と引っ掛かってしまうのです。ないほうがよかったんじゃないか、と。ならば題名から変えなければならないですよね(苦笑)。
本格中の本格、と思い浮かべるものがズバリ!という作品でした。
評価はやはりあと2冊程読んでからします。


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「理由」 宮部みゆき


云わずと知れた直木賞受賞作品です。
これを面白いと感じるか感じないかは読者の年齢も影響するだろうし、なにより人によってまちまちだと思いますが、確実に言えるのは国内で最も権威がある賞の一つを満場一致で取っただけの事はある作品だということです。正直に言うと面白さ的にはいまいちだったのですが、でも、力強く魅力的な構成でした。すごいよ安寿!読みがいがある、読む価値が価格以上にあると思える本。「蒲生邸(略)」の様な優しいタッチの文章ではなく、賢固堅実な雰囲気で、同じ人が書いたとは思えない。「蒲生邸(略)」は大衆向けの娯楽、「理由」は問題提起のイメージです。元法律事務所に勤めていただけあって、ドキュメント風に書くのが板についているというか、とにかく凄かった。一つの事件によって現代のいろんな問題点がさまざまな登場人物の視点から浮き彫りになって、そして人によっての感じ方の違いも明らかになり、社会的かつレアリズムな作品でした。ヴァンダール千住北ニューシティってもう頭の中にインプットされちゃったよ笑。
高層マンションでの殺人事件。直接的にかかわる人数は多く、且メディアが普及した現代では間接的に、となると膨大な数に達する。またその直接と間接の線引き、つまりリアリティとヴァーチャルリアリティの定義が定まらず、脳内では特に混同してしまい、事象はめちゃくちゃに絡まった糸のように複雑に。人々が抱いている真実は多角的で、異なる。さまざまな人間模様がインタビューを通してそれが明らかにしていく様が圧巻。
芥川と同等の観察眼を持ってることを思わせる様な、鋭い指摘が多々あり、どきりとさせられました。


新年第一号はおそらく09マイベストを5位まで発表します。おなじみの作品が出てくるでしょうが、レビューをしてないものも含まれます。たぶん一生好きなんだろうなあ、という本たちでしょうね。
新年はミステリヰから離れてみようかなあ、と今の段階で思っています。
本読んでるとホームページがおろそかになってしまって、冬休みの意味ないじゃーん!しかもブックレビューって実は書くのに数日かけてるしぃ。←ホントです

09年、ありがとうございました!来年もよろしくおねがいしまーす!!
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