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ホームページの事、返信、妄想、ブックレビューに愛を叫ぶ準ブログ。偏愛なので準が付く、そういうことを書いております。
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こんばんわっっ。
1時半程までは普通の時間帯だと思ってますけど、2時を過ぎるとどんどん「遅い」とラベルを張られるようになります。そんな酷い時間に日記をアップするのが趣味の人にそろそろ見え始める頃なのでしょうか?どちらかと言えば夜型だけど、寝ずに朝を迎えるのは頭痛を伴いながらも嫌いではないですが(そこは寝ろ)、日付変更後更新は趣味ではくあいてる時間が夜中だけだからなのです。日の出前にこれを書き終わった瞬間寝ます。今寝るとヴァレンタインネタをアップ出来ない予感満載☆なので書いた後睡眠。体力と気力があれば、明日も酷い時間に黎百を書けたらいいなあ、と夢の様な事を思っています。夢は寝てから見るもんなんだゼ☆
ヴァレンタインネタは双花だから女性向けですが良かったら読んでやってください。



 *****
廊下でばったり会ったのが三時間前だった。
当たり前だ、と思った。なぜなら李絳攸と藍楸瑛は同じ学校に通っていて、二人とも生徒会の役員。会合がある日に生徒会室付近の廊下で会う確率はそんなに低くない。
楸瑛が右手をスライド式のドアのくぼみに掛けたところでかかった声。
「去年より増えてないか?」
「君の方こそ」
「お前より少ないさ」
真実は問題ではない。この短いやり取り。それは毎年この日―――二月十四日、ヴァレンタインディにはすっかりお決まりとなった大きな紙袋を下げた二人の姿とともに、恒例の挨拶だった。
きっちりと制服を崩すことなく着込み、背筋をぴんと伸ばした姿は真冬だと言うのに寒さなど感じていないかのように清廉として眩しいほどだ。そんな親友兼密かな想い人に、楸瑛はこの日ばかりは苦い思いを抱いたりしている。女嫌いの彼がチョコレートをもらう姿など、見てもこれっぽちもありがたくないのだという本音を隠しとうしてうん年目。
午後五時を回った生徒会室で、そんなもんもんとしている楸瑛をあざ笑うかのように、各クラスから提出された書類に目を通し、シャーペンで不備やメモ、詳細を書きくわえる事に只管集中している絳攸を横目で眺めることにも飽きてきたところだった。
生徒会室にはもちろん他のメンバーも居る。燕青は静蘭におつりが出そうな罵詈雑言のおまけつきで追試対策の古文を勉強している。秀麗はパソコンで会報の校正をしていて―――。
何もやることがないのは楸瑛だけだった。
鬱モード中のため、参考書を開く気にもならない。自然とため息が出たのを聞き咎められてしまった。
「先輩、お疲れですか?」
「ん?イヤ、そういう訳じゃないんだけど、ちょっとね」
「今日はヴァレンタインですからね」
妙に同情的に納得されてしまったが、楸瑛は秀麗が誤解していることに気付きながら敢えて訂正せず、苦笑を浮かべた。
「モテる男は大変だなー。教室でチョコ持った女の子に待ち伏せされてるのを今日だけで何回も見たぜ」
「君だって沢山もらってるだろ?」
「俺のはほとんど義理チョコ!渡す時に念押しされるんだぜ。ちなみにコイツのは本命ばかり」
「黙れコメツキバッタ」
楸瑛の方を見ながら静蘭を指さしていた燕青はあーもう集中切れた、休憩にしよーぜ、と言って睨まれたが、救いの女神は現れた。甘く苦い香りを伴って。
「そろそろ休憩にしましょう。もう三時間も勉強しっぱなしじゃない。コーヒーを入れたわよ」
秀麗は燕青達のところに三つカップを置いた後、トレーを持って、楸瑛のところにやって来た。
「ありがとう」
自分のマグカップを置いた後、劉輝と絳攸の分を取り、二人の机に置く。
「お嬢様、お茶請けはどれにしましょうか?」
「これ静蘭がもらったチョコじゃない」
「義理チョコですから。それに私一人じゃこんなに食べれません」
「そう?じゃあ…」
そんなやり会話が聞こえてきて、だから静蘭はチョコレートを断らないのか、と思った楸瑛も紙袋の中から箱を一つ取り出し、ラッピングをほどきトリュフチョコレートをつまんだ。濃厚な味わいと舌の上で蕩ける感覚から高級な物だと解ったが、浮かない気分はそのまま。溜息はどうにか押しとどめた。
秀麗以外の者は受け取らない、と公言して実行した生徒会長はもう仕事を止めて義理よ、と渡された手作りクッキーを嬉しそうに食べていた。一方絳攸はコーヒー片手のところが違うが、相変わらず書類と睨めっこをしている。
二粒眼の美味しいチョコレートを味わい、コーヒーを二口飲んだ楸瑛にふといたずら心が湧いた。
「絳攸」
「なんだ?」
顔を一瞬たりとも上げない絳攸の傍まで楸瑛は来ていた。
「少し休んだら?」
「後でな」
「じゃあ、君もチョコレートでも食べたら。甘い物は脳にいいっていうだろ」
はい、とチョコレートを指につまんで顔の横に差し出した。目だけ書類に残して顔を向けた絳攸が、口を開き―――。そのままトリュフを口に含み―――。
楸瑛の指に甘い感触だけ残して離れていった。
驚きすぎてぜんまいの切れた人形のように固まってしまった楸瑛の片手に握られていたチョコレートの箱が落下したのと、秀麗、燕青、静蘭が目を丸くしながら息を呑んだのと、劉輝が驚いて何かを口にしたのは同時だった。
「ん。このチョコレートうまいな。サンキュ、楸瑛」
異様にしーんと静まり返った室内を気にも留めず、一枚ページをめくった音。
楸瑛の止まっていた時が動きだした。
「か、会長!」
「な、何なのだ!?」
「ちょっと失礼します!直ぐ帰ってきますから!!」
叫びながら生徒会室を飛び出た。階段を駆け降りる。
もう消えてしまったはずなのに、指先の甘噛の感覚がいつまでも残っている気がして、頭がジンジンする。心臓が煩くて―――。
―――チョコレート!
只管目指しているのはあの甘く苦い、茶色い物体。
―――チョコレートを買おう!
何処でもいいから。どうせなら私のチョコレートで
―――同じことをして。
楸瑛は切にそう願った。



前半のまとまりのなさに反省。手ずから食べさせてもらうと、指を噛んじゃうよねーって話。
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