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ホームページの事、返信、妄想、ブックレビューに愛を叫ぶ準ブログ。偏愛なので準が付く、そういうことを書いております。
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拍手ありがとうございます!調子に乗って萌を吐き出します。

絳攸の任期が終わり、州官としての最後の朝、極道の人たちが絳攸の住処を包囲して、紫州から付いてきた家人たちは大慌て。
「もの凄く凶悪な顔をした人たちが屋敷を取り囲んでいます!どどどどどうしましょう!打ちこわし!?応戦しますか!?州府に助けを求めますか!?」
外をちらりと確認した絳攸は、瞑目して溜息を一つ付き、家人の肩を叩いた。
「心当たりがあるから俺が出て行く。安心しろ。あいつらはそういうのじゃない」

絳攸が出て行くと、絳攸を中心に円が出来ます。強面の輩に囲まれても一切動じない絳攸。

何やらフトドキモノ達がもめているのが解った。
「おい、もっと詰めろ!師匠の顔が見えねーだろっ!」
「てめえ後ろに行け!お前の馬鹿でかい身長のせいで視界が遮られてるんだよっ!」
ガヤガヤしている群衆に向け、絳攸は「何の用だお前ら。半刻後には州府に行かねばならん。手短に言え」と大きくもなく、小さくもない、だが凛とて屋外でもよく通る声で言った。ぴたりと騒ぎが収まり、不穏な輩は絳攸を注視する。
しばらくすると、おずおずと群れの中から三人のやはり強面の男たちが大きな霧箱を抱えて出てきた。
「師匠。あのこれ、中央へ戻る師匠に俺たちからの贈り物です」
目を見開いて絳攸はその箱を受け取った。期待に満ちた百近くの顔が絳攸に向けられ、そっと蓋を開くと黒地に襟ぐりの部分は金の派手な上着と、真っ赤な鉢巻きが目に入った。
真っ赤な鉢巻きの中央には「李」の一文字。
どういう反応をしていいか困った絳攸が無言でいると、もじもじとしながら三人が順番に言った。
「師匠には随分お世話になりったんで、俺たちからの気持ちです」
「一人一針丹精と怨念込めて完成させました」
「『愛』の方が良いかな、と意見したんですけど『んな面倒な字縫えるかーっ!』とケンカしてしまいまして」
どうやら刺繍は手縫いらしい。顔の前でつつかれている両の人差し指などに布が巻かれているのを見て、絳攸はややどもりながら「あ、ありがとう」と言うのが精いっぱいだった。
絳攸からの感謝の言葉を聞いた輩どもは水を得た魚のようにおたけびを上げ、喜んだ。
「今日の朝議に間に合うように仕上げました!」
という声を聞いて、絳攸は困りに困った末、上着と鉢巻きを巻いて、州府に行く羽目になる。というのは、絳攸の姿を一目見たい自称弟子たちが、登庁する軒の後を列を作って、付いてきたからだ。

絳攸とすれ違った官吏は皆振り向き、驚いた。
黒地の上着は明らかに特攻服で、背中には「夜露死苦」の文字がでかでかと刺繍されていた。



※※※※※※※※※※※※※
………ごめんんささいっ!いや、こんな妄想で本当に…。出勤後、上着・鉢巻きは取ります。
書いた本人は楽しかったです。実はまだ続きがあるのですが、長いので一区切り。
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