ホームページの事、返信、妄想、ブックレビューに愛を叫ぶ準ブログ。偏愛なので準が付く、そういうことを書いております。
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楸瑛が助けてくれ、って絳攸に頼んだら――が最近のテーマです。普段弱みを見せない人に頼られると嬉しいと言うか。
絳攸は絶対に手を差し伸べてくれると思います。
絳攸手を貸してくれ――。
普段は余裕しゃくしゃくな楸瑛が、その目に珍しく焦りを浮かべていたから絳攸は思わず頷いてしまった。普段頼られることがない相手だから、驚きながら助けてやろう、と思ったのだった。
絳攸は絶対に手を差し伸べてくれると思います。
絳攸手を貸してくれ――。
普段は余裕しゃくしゃくな楸瑛が、その目に珍しく焦りを浮かべていたから絳攸は思わず頷いてしまった。普段頼られることがない相手だから、驚きながら助けてやろう、と思ったのだった。
*****
「で、何でこうなる」
絳攸はやけにきらびやかで花の香りに満ちた部屋で並んで座った楸瑛を容赦なく肘でつついた。その声は小さなものだったが厳しい。楸瑛はというと珍しく神妙な顔をしていた。
首を縦に振った絳攸に事情を告げぬまま「今すぐ付いてきて欲しいところがある」と張っぱられ軒に詰め込まれ、着いた先が花街。ふざけるなこの野郎と言う代わりに、絳攸は無言でそのまま回れ右をしようとしたが、腕を掴まれて引きずられれば力の差から逃れられない。一軒の妓楼に入り、店の番頭らしき者と何やら話している間もその力が緩まず、信じられないことに両手を使ってひきはがそうとしても出来ず、悔しさもあいまってこんなところで才能の無駄遣いをする楸瑛を心の中で散々に罵倒し呪った。
「この埋め合わせは後でする。何でもするから!」
にこにこと普段笑顔を貼りつけてる男にそんな風に拝まれたら毒気が抜けてもう怒る気はしなかった。
案内された部屋は妓楼通いをしない絳攸にさえ一目でわかる程極上で、一体全体この男が何をしでかしたのか、考えるだけで頭が痛くなった。そして絳攸に期待していることはきっと碌でもないに違いない。
めったに弱味を見せない楸瑛が珍しく頼ってきたものだから「是」と言ってしまったが、早まったかもと少しだけ後悔したのだった。
「実は――」
かいつまんで纏めれば、遊びのつもりで手を出した妓女が本気になったので楸瑛はいつものように手を引いた。そしたら髪の毛が一束送られてきたらしい。
「何だそれ。不幸の手紙か?呪いなら仙洞省にでも頼め」
「いいや、不幸の手紙の方が実害がないだけましだよ。こっちは丁寧に次は小指でも送ります、という手紙付き」
「――凄い女だな」
絳攸は絶句する代わりに何とかそう言ったら、珍しく暗い顔の楸瑛が呟いた。
「君は知らないだろうけど、花街の文化なんだよ。髪の毛を送ったり指や体の一部を送ることであなただけ、と想いの強さを示すんだ。そして彼女は実際にやりかねなくて――。困ってる。私のためなんかにするべきことじゃない」
「どこをどう聞いてもお前が悪いな」
「今回はかなり反省した」
肩を落とす楸瑛は本当に反省しているようだった。
「で、俺はなにをすればいいんだ?」
「彼女を説得してくれ。君の頭が頼りだ」
とんだ難問だ。女嫌いを自称して数年が過ぎた絳攸は、それでもめったに頼られることのない腐れ縁のために――それも絳攸を頼ってくれたのだから、どうなるか解らないが一肌脱ごうと決め、「善処しよう」とだけ言った。
(つづく?)
**********
実はこれ昔に考えたネタでして、新たに書きなおしてみました。長くなるのでここで打ち切り。
最後まで考えてあるので気が向いたら数日中に書きます。
絳攸はやけにきらびやかで花の香りに満ちた部屋で並んで座った楸瑛を容赦なく肘でつついた。その声は小さなものだったが厳しい。楸瑛はというと珍しく神妙な顔をしていた。
首を縦に振った絳攸に事情を告げぬまま「今すぐ付いてきて欲しいところがある」と張っぱられ軒に詰め込まれ、着いた先が花街。ふざけるなこの野郎と言う代わりに、絳攸は無言でそのまま回れ右をしようとしたが、腕を掴まれて引きずられれば力の差から逃れられない。一軒の妓楼に入り、店の番頭らしき者と何やら話している間もその力が緩まず、信じられないことに両手を使ってひきはがそうとしても出来ず、悔しさもあいまってこんなところで才能の無駄遣いをする楸瑛を心の中で散々に罵倒し呪った。
「この埋め合わせは後でする。何でもするから!」
にこにこと普段笑顔を貼りつけてる男にそんな風に拝まれたら毒気が抜けてもう怒る気はしなかった。
案内された部屋は妓楼通いをしない絳攸にさえ一目でわかる程極上で、一体全体この男が何をしでかしたのか、考えるだけで頭が痛くなった。そして絳攸に期待していることはきっと碌でもないに違いない。
めったに弱味を見せない楸瑛が珍しく頼ってきたものだから「是」と言ってしまったが、早まったかもと少しだけ後悔したのだった。
「実は――」
かいつまんで纏めれば、遊びのつもりで手を出した妓女が本気になったので楸瑛はいつものように手を引いた。そしたら髪の毛が一束送られてきたらしい。
「何だそれ。不幸の手紙か?呪いなら仙洞省にでも頼め」
「いいや、不幸の手紙の方が実害がないだけましだよ。こっちは丁寧に次は小指でも送ります、という手紙付き」
「――凄い女だな」
絳攸は絶句する代わりに何とかそう言ったら、珍しく暗い顔の楸瑛が呟いた。
「君は知らないだろうけど、花街の文化なんだよ。髪の毛を送ったり指や体の一部を送ることであなただけ、と想いの強さを示すんだ。そして彼女は実際にやりかねなくて――。困ってる。私のためなんかにするべきことじゃない」
「どこをどう聞いてもお前が悪いな」
「今回はかなり反省した」
肩を落とす楸瑛は本当に反省しているようだった。
「で、俺はなにをすればいいんだ?」
「彼女を説得してくれ。君の頭が頼りだ」
とんだ難問だ。女嫌いを自称して数年が過ぎた絳攸は、それでもめったに頼られることのない腐れ縁のために――それも絳攸を頼ってくれたのだから、どうなるか解らないが一肌脱ごうと決め、「善処しよう」とだけ言った。
(つづく?)
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実はこれ昔に考えたネタでして、新たに書きなおしてみました。長くなるのでここで打ち切り。
最後まで考えてあるので気が向いたら数日中に書きます。
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