ホームページの事、返信、妄想、ブックレビューに愛を叫ぶ準ブログ。偏愛なので準が付く、そういうことを書いております。
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01「おい」「ん」
「おい」
言いながら手を伸ばした。直ぐに重さが伝わるが――。それは温かかった。そして少し、心地よい程にふんわりと優しく圧迫されて絳攸はあきれ顔で書翰から顔を上げる。左手には絳攸の物より少し大きな手が上からかぶさり柔らかく握っていた。
「おい」
冗談だよ、と笑いながら楸瑛はもう片方の手で絳攸が望んでいた本をのせた。それに体温を奪われる。
少し心が重くなったなんて気のせいだと言い訳してもう十年以上。
どんな資料が必要だとか、それ以上の物さえ解り合ってしまった。その先はあるのかないのか――。
「あ」
「どうかした?」
「いや何でもない」
考え事をしてたら墨が筆から垂れて書簡に沁みを作っていた。書きなおしだ。
「おや、君にしては珍しい失敗だね」
一因はお前だ、という言葉を呑みこんで。
考えを振り払うように目を瞑る。
瞼に焼き付いているのは目じりの皺が増えた、あいつ。
※※※
04なるほど確かに腐った仲だ
抜けるような青空だった。衣服に入り込んでくる風はまだ寒いがどこか温かい初春の日。
誰もいない回廊。遠くから笛や太鼓、銅鑼の音が聴こえる。対面するのは珍しくきらびやかな服装をした絳攸だった。同じように優美な格好をした楸瑛を見て心底嫌そうな顔をした。
「まさかまたお前と一緒だとは」
「私も驚いた。君を驚かせようと思って内示もらったのを秘密にしてたんだけど、逆に驚かされたよ」
ここまでくればもうこれ愛なんじゃない?と軽口をたたこうとしたら腐れ縁も、と続いた。
「ここまで続くと思わなかった」
「そう?衝撃的で運命的な出会いだったから私はもしかしたらって思ってたよ」
お互い積極的に関係を深めようとか関係を解消しようという努力が無かっただけだけど。
「君とまた一緒に昇進出来て嬉しいよ。李吏部尚書殿」
「やっとお前を抜かしたと思ったのに」
ぼやきながらもよろしく頼む、藍左雨林軍大将軍、と付け足した。
(補足:春の除目で吏部尚書と左雨林軍大将軍に就任した二人)
==========
腐れ縁の雰囲気が出てないけど諦めてアップしてみました。
TOYさまよりお題を拝借しています。
「おい」
言いながら手を伸ばした。直ぐに重さが伝わるが――。それは温かかった。そして少し、心地よい程にふんわりと優しく圧迫されて絳攸はあきれ顔で書翰から顔を上げる。左手には絳攸の物より少し大きな手が上からかぶさり柔らかく握っていた。
「おい」
冗談だよ、と笑いながら楸瑛はもう片方の手で絳攸が望んでいた本をのせた。それに体温を奪われる。
少し心が重くなったなんて気のせいだと言い訳してもう十年以上。
どんな資料が必要だとか、それ以上の物さえ解り合ってしまった。その先はあるのかないのか――。
「あ」
「どうかした?」
「いや何でもない」
考え事をしてたら墨が筆から垂れて書簡に沁みを作っていた。書きなおしだ。
「おや、君にしては珍しい失敗だね」
一因はお前だ、という言葉を呑みこんで。
考えを振り払うように目を瞑る。
瞼に焼き付いているのは目じりの皺が増えた、あいつ。
※※※
04なるほど確かに腐った仲だ
抜けるような青空だった。衣服に入り込んでくる風はまだ寒いがどこか温かい初春の日。
誰もいない回廊。遠くから笛や太鼓、銅鑼の音が聴こえる。対面するのは珍しくきらびやかな服装をした絳攸だった。同じように優美な格好をした楸瑛を見て心底嫌そうな顔をした。
「まさかまたお前と一緒だとは」
「私も驚いた。君を驚かせようと思って内示もらったのを秘密にしてたんだけど、逆に驚かされたよ」
ここまでくればもうこれ愛なんじゃない?と軽口をたたこうとしたら腐れ縁も、と続いた。
「ここまで続くと思わなかった」
「そう?衝撃的で運命的な出会いだったから私はもしかしたらって思ってたよ」
お互い積極的に関係を深めようとか関係を解消しようという努力が無かっただけだけど。
「君とまた一緒に昇進出来て嬉しいよ。李吏部尚書殿」
「やっとお前を抜かしたと思ったのに」
ぼやきながらもよろしく頼む、藍左雨林軍大将軍、と付け足した。
(補足:春の除目で吏部尚書と左雨林軍大将軍に就任した二人)
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腐れ縁の雰囲気が出てないけど諦めてアップしてみました。
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